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起業する前に知っておきたいお金の話Ⅱ #11

みなさんこんにちは。
税理士の荻島宏之(おぎしま ひろゆき)です。

前回はお金の管理方法の一つ、資金繰り表についてお話しさせていただきました。
「いつ」「いくら」「どんな内容で」
という3つの要素について管理することで、お金のシミュレーションができるようになります。
事前に「手を打つ」ことが可能になるということです。

今回は「会計のルールで作られた利益計画」と
お金についての橋渡しをする「資金計画」についてお話ししたいと思います。
こちらも未来のお金の状態を計画し、事前に手を打つための道具ではありますが、
年単位で考える事業計画の一部として考えてください。
資金繰り表はどちらかというと月単位、日単位で管理をすべきものとなります。


資金計画、どう作る?~前編~




利益計画



さて資金計画を作る前行程として「利益計画」を策定しなければなりません。
この利益計画は言ってみれば、

未来の損益計算書

になります。
1年後の目標損益計算書、2年後、3年後と考えていきます。

■利益計画
①売上高      10,000
②売上原価     △3,000
③売上総利益     7,000(①-②)
④販売費一般管理費 △5,000
⑤目標利益      2,000(③-④)

この利益計画の作り方についての詳細は今回のテーマではないので省略しますが、
資金計画を作る上で認識しておかなければならないことがひとつあります。

それは、この利益計画も「会計のルール」に基づき策定されたということです。
そもそも計画は「計画と実績の差異」を知ることで「会社の思惑」と
「現実」のズレをいち早く知るために作成します。
このズレを正しく知るためには、利益計画(会社の思惑)と損益計算書(現実)は
同じルールで作らなければなりません。

この会計のルールが実際のお金の動きと異なるために、
利益計画や損益計算書だけではお金について考えるには不十分となってしまうのです。

利益計画とお金の動きには2つのズレ、

・時間差によって生まれるズレ
・そもそも利益計画と関係ないお金の動きによるズレ


がありますので、この2つのズレについて見ていきたいと思います。


利益計画とお金の動きのズレ① ~時間差によって生まれるズレ~



簡単な例でご説明します。

例)3月31日、ある商品を600で仕入れて1,000で販売しました。

この会社が3月31日決算日だとすると、損益計算書は、

売上高  1,000
売上原価  △600
利益     400

となります。
売上代金の回収や仕入れ代金の支払い状況については特に示していません。
会計のルールでは、ものが販売された時点で売上高を計上し、
販売された商品についての仕入れ代金を売上原価として計上することで
ある期間の損益を計算します。

※厳密にはいつを「販売」時点と捉えるかという話になるのですが、
 ここでは「販売」と「代金回収」とだけに分けて
 会計ルールとお金の動きのズレを説明しています。

上記の取引で、売上代金の回収と仕入れ代金の支払いを
即日(3月31日)にしているのであれば、
利益として計算された400の現金が増えていることになります。

しかし、回収と支払いのタイミングが、例えば4月30日になれば、
3月31日の時点では現金は全く増えていません。
会計のルールで作られた損益計算書上の利益400のお金の増加はなく、
1か月後にやっと利益とお金の動きが一致することになります。
これが、時間差によるズレです。

利益計画を作った上で、資金計画を作り際にはこの「時間差のズレ」を
考慮する必要があります


利益計画で1億円の利益目標を立てて実現できたとしても、
1年後に同額の現金が増えているとは限らない、ということです。


利益計画とお金の動きのズレ② ~そもそも損益計算と関わり無いお金の動きによるズレ~



時間差によるズレ以外に、そもそも利益計画や損益計算をする際に
反映されないお金の動きがあります。

例えば、

・金融機関からの借入による資金の増加(返済による減少)
・増資をしたことによる資金の増加
・土地等の固定資産を購入したことによる資金の減少
・配当をしたことによる資金の減少
・税金を支払ったことによる資金の減少
・事務所賃貸のための保証金の支払いによる資金の減少

などがあります。
※固定資産については減価償却によって損益計算に影響することもあります。

先ほどの例に、借入に関係するお金の動きを絡めて見ます。

例)先ほどの取引をするにあたって、800を銀行から借りました。
  現金は800増えます。

仕入れ、売上ともに即金で取引をしていたとしたら、
借入800 + 利益400 = 1,200の現金増加となります。

→利益と現金が一致していても、損益に関係ないお金の動きがあるため、
利益の金額と合いません。

さらに、以前よりの借入金の返済が2,000あれば、
借入800 + 利益400 - 返済2,000 = △800
となり利益が400出ているのにお金は800減少してしまうことになります。

正に「利益が出ているのに現金が無い」状態です。



まとめ



今回は、

・資金計画を作る前提として利益計画を作る
・利益計画は未来の損益計算書(目標)
・損益計算書も利益計画もお金の動きと一致しない「会計のルール」で作られる
・利益計画とお金の動きの2つの動きのズレを知る
・ズレ1:時間差によるズレ
・ズレ2:損益計算に影響しないお金の動きがある

という話でした。
次回はこれを元に実際に資金計画を作ってみたいと思います。

早いもので次回が最終回。
「未来へ向けたお金の動きを考える」資金計画で締めくくりたいと思います。




ogihima 荻島 宏之(おぎしま ひろゆき)
 株式会社start-with/荻島会計事務所 代表 税理士
 1976年埼玉県生まれ。
 2013年6月に12年勤務した会社を退職。
 まだ世にない価値を創り出す「起業」を支援すべく、
 株式会社start-with/荻島会計事務所を開業。
 お客様とともに成長していけることに楽しさを感じています。
 HP:http://start-with.co.jp


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