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起業する前に知っておきたいお金の話Ⅱ #8

みなさんこんにちは。
税理士の荻島 宏之(おぎしま ひろゆき)です。

仕事柄、これから起業される方の事業計画をよく見せていただきますが、
利益計画の中の費用の見積もりが足りない(項目・金額ともに)ケースが結構あります。
顧客獲得費用などの営業経費についてはみなさんジックリ見積もりされるのですが、
人件費や「諸経費」として括られてしまうような項目が
以外と過小に見積もられています。

起業したばかりの段階では思わぬコストが結構「痛い」ものです。
「いかに売上を獲得するか」に意識は集中しがちではありますが、
“余計なつまづき”をしないように、コスト面についても十分留意しましょう。

今回はコストの中でも大きな比率を占めるわりには
かなりの確率でざっくり見積もられる、「人件費」について
「え、そんなコストが!?」を見ていきたいと思います。


起業をすると思った以上にコストがかかる




「給料は額面〇〇万円」ですまない人件費




利益計画のコストの中で一番見積もり不足が多いのが「人件費」です。
大抵は、給料額面を人件費として見積もられています。

こんな具合です。


例)給料額面 20万円の人を2人採用しよう


年間人件費 = 20万円 × 12ヶ月 × 2人 = 480万円【A】


額面だけで考えると480万円ではありますが、これだけでは済まないのが人件費…です。


追加項目その1:通勤手当



みなさんもお勤めされていれば「通勤手当」を支給されていないでしょうか。
「通勤手当」の支給は会社の任意なので義務ではありませんが、
世の中の9割近い会社が支給しています。
というか支給していない会社は採用に苦労しそうです。

通勤手段(公共交通機関や車、バイクなど)や会社の決まり、
社員の居住地により金額はまちまちではありますが、
実際に見積もる場合には、経験上ではありますが1〜2万円/人月を考えれば
十分だと思います。

というわけで、ここでは「1万円/人月」の通勤手当として見積もると


年間通勤手当 = 1万円 × 12か月 × 2人 = 24万円【B】


が追加されることになります。
これくらいなら「誤差のうち!」でしょうか?


追加項目その2:社会保険料



次はインパクトがあります。
社会保険です。

社会保険制度は会社等で働く人たちが収入に応じて保険料を負担し、
病気になったときなどに生活の安定を図る目的でつくられています。

・社会保険 → 健康保険/介護保険/厚生年金
・労働保険 → 雇用保険/労災保険


もらっている給与明細を思い出して欲しいのですが、
上記の項目が天引きされていないでしょうか。

※介護保険は40歳以上60歳未満の方。
 労災保険は全額会社負担なので天引きはありません。

社員の「もしも」に備えて保険料を各自負担するだけなら
会社としては特段痛みはないのですが、
この社会保険には「会社負担分」というものが出てくるのです。

実際に会社負担分というコストを計算して見ましょう。

・給料額面20万円 + 通勤手当1万円 = 21万円 の場合の社会保険料(社員は介護保険非対象)

  健康保険:21万円 × 9.91% = 20,811円①
  厚生年金:21万円 × 18.182% = 38,182円②

  (① + ②)÷ 2(社員と会社)= 29,496円


この場合、社員本人から29,496円を天引きし、
会社が29,496円をそれに上乗せして社会保険料として納めることになります。
この会社負担の29,496円は純粋なコストです。

これを、上記の例に合わせて2名分、1年間で見積もりしましょう。


年間社会保険料会社負担 = 29,496円 × 12ヶ月 × 2人 =707,904円 ≒ 70万円【C】


社会保険の料率などは加入する健康保険組合等や地域によっても若干変わります。
利益計画を作る際には額面(通勤手当含む)の14%のコストがかかるものとして
見積もりをされるとよいと思います。

また、雇用保険の会社負担分や労災保険(全額会社負担)もあります。
労災保険については業種によって保険料率が異なりますので
下記のリンクをご参照ください。

>>> 厚生労働省HP内 労災保険率表


雇用保険の会社負担はほとんどの事業が3/1,000(0.3%)となります。


*   *   *   *   *


さて、給与額面金額からスタートして追加項目が2つ出てきたところで
合計してみます。


【A】給与額面 480万円 + 【B】通勤手当 24万円 + 【C】社会保険会社負担 70万 = 574万円


額面で考えたときよりも2割り増し、
金額では100万円近くの増加となってしまいました。
起業したばかりの時期の100万円は資金調達状況次第ではありますが、
決して軽くないコストではないでしょうか。

ちなみにこの社会保険は「法人の場合は強制加入」になります。
「個人事業主はの場合は従業員5人未満までは任意加入」となります。
任意加入の場合は社員それぞれが国民健康保険と国民年金を払うことになり、
会社負担(正確には事業主負担)というものはありません。

事業を始める際に「法人を作るか?個人事業主で始めるか?」を考える
一要素でもありますね。


追加項目その3:番外編



人件費を広く捉えると細かくあげれば他にもコストは出てきます。

・社員の健康診断費用(これは法律での義務です)
・慶弔費用
・福利厚生(親睦会、社員旅行)
・採用コスト
・教育コスト
・退職金積立

などなど

起業したてでは関係ない項目もありますが
頭の片隅には置いておきましょう。


自分の事業計画に基づいてイメージしましょう



今回お話しした人件費関係のコストはどんな事業内容であれ
同じように発生します。
それ以外にどんなコストがかかるのか?

自分の事業計画を実行に移した姿をイメージすること、

・可能であれば、先輩起業家に実際にかかったコストを教えてもらう
・類似する事業のモデル利益計画を参考にする

といった作業をすることが大事だと思います。

お金の「入り」の源である「売上」獲得に力を注ぐためにも
「出ていくお金」についてはあらかじめジックリ見積もっていきましょう。





ogihima 荻島 宏之(おぎしま ひろゆき)
 株式会社start-with/荻島会計事務所 代表 税理士
 1976年埼玉県生まれ。
 2013年6月に12年勤務した会社を退職。
 まだ世にない価値を創り出す「起業」を支援すべく、
 株式会社start-with/荻島会計事務所を開業。
 お客様とともに成長していけることに楽しさを感じています。
 HP:http://start-with.co.jp




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