みなさんこんにちは。
税理士の荻島 宏之(おぎしま ひろゆき)です。
前回は事業を始めて利益が出た場合の税金についてお話ししました。
税金と付き合う心構えとして「お金の準備」「ココロの準備」が大事です。
さて今回は「利益が出ている = 儲かっている」かどうかに関わらず、
事業活動を行うと絡んでくる税金についてお話ししたいと思います。
起業をすれば税金と付き合う~その2~
1.税金を「負担」する人と「納める」人
税金はあらためて言うまでもないですが、国や地方が国民に対して課し、徴収します。
この徴収の仕方(課された方としては納め方)が実はややこしくて、
税金の負担者 = 税金の納税者
では
ない場合があるのです。
誰でも身近な消費税を思い出してください。
普段コンビニなどで買い物をするときに、消費税8%を含めた代金を支払っています。
でも税金はコンビニのオーナーに支払うものではなく、国等に払うものです。
コンビニに払った消費税はどうやって国に納められるのかというと、
その消費税を“預かった”コンビニオーナー(事業者)が国に納付をします。
この場合、
税金の負担者 = コンビニで買い物をした人
税金の納税者 = コンビニオーナー(事業者)
となります。
面倒臭いですね。
事業を始めると、このような
「自分が負担するわけではないけれど納税する義務はある」税金
との付き合いも始まってしまうのです。
2.消費税
負担者と納税者が異なる税金の代表例が消費税です。
細かく言うと国税の消費税と地方税の地方消費税を合わせて
一般的には消費税と言われ、両方の合計が8%の税率となっています。
消費税の納税者は事業者です。
消費税の申告をする義務がある事業者を「納税義務者」と言いますが、
一定の小規模事業者については特例として「納税義務」が免除されることがあります。
法人の場合、前々事業年度の消費税の対象になる売上高が
1,000万円未満であれば消費税の納税義務が免除となります。
会社を設立して2事業年度は「前々事業年度がない」ので判定しようがなく、
原則として消費税の納税義務がありません。
ですが、資本金が1,000万円以上の場合は
無条件に消費税の納税義務が発生してしまします。
「1,000万円“以上”」なので、資本金1,000万円の場合も含まれます。
納税義務者となる事業者は下記のような計算をして消費税を納付しなければなりません。
・自分が預かった消費税 - 自分が払った消費税 = 納める消費税額
■例
・税抜き100万円(消費税8万円)で仕入れた商品を、
・税抜き150万円(消費税12万円)で販売したとします。
預かった消費税 12万円 - 払った消費税 8万円 = 納める消費税額 4万円
となり、消費税の申告をして4万円を国に納付することになります。
消費税がなければそもそも販売先から12万円を消費税として受け取ることもありませんので、
この4万円は会社が負担している(損している)ものではありません。
普段の資金繰りの中で運転資金に紛れてしまいやすいのがこの消費税です。
毎月、納税見込額を納税用の銀行口座に分けていただくなど
お金の準備を忘れないようにしましょう。
3.源泉所得税・住民税
こちらも負担者と納税者が異なる税金になります。
会社にお勤めの方であればイメージが湧きやすいかもしれません。
給料明細をもらっている方は控除項目見ていただくと、
その中に「所得税」「住民税」という税金が引かれていると思います。
この2つは個人の所得(儲け)に対して課される税金になります。
これも負担しているのは給与をもらっている方になりますが、
国等に納めているのは誰かというと事業者になります。
事業者が給与を支払う際に、所得税・住民税を天引きして、
天引きした税金を納めることになります。
この仕組みのことを「源泉徴収制度」といます。この税金については、
税金の負担者=給与をもらっている人
税金の納税者=給与を払っている事業者
です。
事業者は給与から天引きした所得税・住民税を給与の支払い月の翌月10日までに
納付をしなければなりません。
一定の小規模事業者の場合には半年分をまとめて納付することもできます。
この税金も給与とは別途に事業者が負担している訳では決してなく、
あくまでも社員から天引きしている事を忘れてはなりません。
ちなみにこの天引きですが、事業者は天引き「しなければならない」源泉徴収義務者、
となってしまいます。
もし、源泉徴収すべきなのに忘れてしまったりしていると、
源泉徴収して納付すべき金額を(天引きしていないのに)
後から納付しなければならなくなりますので注意しましょう。
4.資産税・印紙税
これは負担者・納税者という話ではありませんが、
起業して関係してくる税金なので簡単にご紹介します。
■資産税
資産を所有している事に課税される税金があります。
固定資産税・・・土地、建物等を所有
自動車税 ・・・自動車を所有
償却資産税・・・上記以外の減価償却資産を所有
■印紙税
特定の紙の文書を作成することに対して課税される。
事業を行なっていて多いのは「領収書」や「契約書」など。
* * *
2回にわたって税金のお話をさせていただきました。
とても全体を網羅できている内容ではありませんが、
起業に関わる税金の入り口としてイメージを掴んで頂ければと思います。
荻島 宏之(おぎしま ひろゆき)
株式会社start-with/荻島会計事務所 代表 税理士
1976年埼玉県生まれ。
2013年6月に12年勤務した会社を退職。
まだ世にない価値を創り出す「起業」を支援すべく、
株式会社start-with/荻島会計事務所を開業。
お客様とともに成長していけることに楽しさを感じています。
HP:
http://start-with.co.jp
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