Attackers Startup News

『専門部署がなくても安心!スタートアップベンチャーのための知財的視点塾#6』

皆さん、こんにちは!弁理士の服部耕市です。

去る5月12日のABS@NET第33回オフ会(OBOG会)で「プレセミナー」をやらせていただきました。
当日は、開催時間にちょうどタイミングを合わせて季節はずれの台風が東京を通過するという
奇跡的な状況にもかかわらず、沢山の方に参加していただき、大変感謝しております。

質疑応答や懇親会でいただきましたご質問やご意見等を今後に活かしていきたいと思います。

さて、前回(第5回目)のテーマは

『知財を明確にして、処理し、活用する』~その4・知財を活用する~ でした。

“知的財産は事業の推進力であり、参入障壁を高くしたり交渉の材料として使用することで、
事業上の問題解決や問題の発生防止の手段として活用できる。”という事を認識していただけましたでしょうか。

第6回目となる今回のテーマは
--------------------
      『新しいタイプの商標』
--------------------
です。

「新しいタイプの商標」って言うと、なんだか凄そうなので、特許庁のホームページ等で

オフィシャルに使われている「新しいタイプの商標」という言葉をそのままテーマに使いました。

「新しいタイプの商標」がどのようなものかは追々お話しいたしますが、
実は、既に皆さん、沢山の「新しいタイプの商標」に触れているんです。

その観点からは、何も新しいことはないのですが、
今まで商標権では保護を受けることが出来ながったものが、
保護を受けられるようになったという点では、たいへん画期的です。

商標法の改正により、今年の4月1日より「新しいタイプの商標」についての商標登録出願が可能になりました。

ちなみに、4月1日から30日までの間に、624件の出願がありました。(参考

ライバル企業との差別化をどう図るのか、あからさまなパクリをどう防ぐのか、
とういことに関心が集まる昨今、皆さんの事業にも関係すると思いますので、今回、テーマに取り上げてみました。

(1)商標って何?

ここで、そもそも「商標」って何?という疑問にお答えしたいと思います。


簡単に言いますと「誰が製造販売する商品なのか?」や
「誰が提供するサービスなのか?」を示す目印です。


その目印は、文字で表されたネーミングの場合もありますし、図形等の場合もあります。


皆さんは、商品を購入する場合やサービスを利用する場合、商標を手掛かりにして
商品やサービスを選んでいると思います。
例えば、シャンプーを購入する場合、いつもと同じものが欲しければ、
同じ商標が付されているシャンプーを選択すると思います。


「シャンプーを変えたら翌朝髪が爆発していた」なんて経験はありませんか。
いつもと同じ商標のシャンプーなら、翌朝も安心ですね。


このように、商標は、お店に並んでいる沢山の商品や色々な企業が提供するサービスの中から
自分の商品・サービスを区別する目印となるものです。


(2)伝統的なタイプの商標

「新しいタイプの商標」に対して、以前から商標権で保護されていた商標を、
ここでは「伝統的なタイプの商標」と言うことにします。


例えば、文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、これらの結合商標等があります。


特許庁のホームページには特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)という
データベースがあり、無料で使用できます。


この特許情報プラットフォームを使用して「コカ・コーラ」の商標を検索してみました。
「伝統的なタイプの商標」について色々と商標登録されていましたので、いくつかご紹介いたします。

①文字商標

商標登録第106633号

②文字と図形の結合商標、これらと色彩の結合商標

商標登録第1499892号商標登録第4701739号

③立体商標

瓶の形状です。この形状の瓶を見ると、コカ・コーラだ!と誰でも分かりますよね。
瓶の形状自体が、お店に並ぶ沢山の清涼飲料の中からコカ・コーラを区別する目印になっています。


商標登録第5225619号


(3)新しいタイプの商標

各企業は自社の商品やサービスを販売するために、様々な販売戦略をとっています。
図形の動きやイメージ・カラー等を戦略的に使用し、自社の商品やサービスを消費者に印象づけています。


このとき使用される図形の動きやイメージ・カラー等は、沢山の商品・サービスの中から
自分の商品・サービスを区別する目印として機能しております。


つまり、実際の商取引の現場では、目印となり得るものは「伝統的なタイプの商標」に限りません。


また、諸外国では幾つかの新しいタイプの商標について
既に保護対象となっており、日本においても保護のニーズが高まっておりました。


そこで、商標法が改正され、「新しいタイプの商標」についても
商標権による保護が認められるようになりました。


今回、保護が認められるようになったものは、以下の5つのタイプです。


新しいタイプの商標_表
特許庁のホームページより引用

①動き商標

イメージしやすい具体例が特許庁作成の
「新しいタイプの商標の保護制度に関するパンフレット」(平成27年1月作成)
記載されていましたので、ご紹介いたします。


 動き商標


画像は、同パンフレットからの引用です。


5枚の図を番号順に見ることで、四角で示された画面の左下から右上に向けて
鳥が飛び立つ様子が表されています。


②ホログラム商標

これも、同パンフレットからの引用です。見る角度によって文字が変化します。


 ホログラム商標

③色彩のみからなる商標

興味深い出願を見つけました。私は日頃お世話になっており、すぐイメージできました。


出願人:株式会社トンボ鉛筆/出願番号:商願2015-29914


トンボ鉛筆_商標


次の商標も、すぐイメージできました。


出願人:株式会社円谷プロダクション/出願番号:商願2015-29855


円谷プロダクション_商標


※これら2件の出願の画像は、経済産業省ニュースリリース
「新しいタイプの商標の公開商標公報が発行されました。」
からの引用です。


④音商標

これも、上記パンフレットからの引用です。


音商標


⑤位置商標

またまた興味深い出願を見つけました。この商標も、すぐ商品をイメージできました。


出願人:キユーピー株式会社/出願番号:商願2015-29959


位置商標


※この画像は、同出願の公開公報からの引用です
なお、上記各出願についての審査結果は出ていません。出願中の段階です。

したがって、商標権による保護を受けられない可能性もあります。


新しい制度ですので、私自身、商標権による保護を受けられるか否か分けるレベル感が生じておりません。
しばらくは特許庁の運用を見守りたいと思っています。


(4)商標の棚卸し

それでは、何をしたらいいのでしょうか。先ずは、商標の棚卸しをしてください。


御社のホームページ上で、動画を使用していませんか。
その動画は、①動き商標として機能していませんか。


御社の商品の真贋識別のためにホログラムを使用していませんか。
それは、②ホログラム商標には該当しませんか。


色彩の組合せから御社の商品やサービスをイメージできませんか。
その色彩の組み合わせは、③色彩のみからなる商標として機能していませんか。


サウンド・ロゴは使用していませんか。
そのサウンド・ロゴは、④音商標には該当しませんか。


御社の商品やその容器の一部に特徴的な目印はありませんか。
その目印は、⑤位置商標として機能していませんか。


これらの新しいタイプの商標を御社の販売戦略に活用するためには、
商標権による保護が必要です。


新しい制度の利用を、ぜひ検討してください。


今回は、ここまでです。次回は、営業秘密の保護についてお話したいと思います。

▼まとめ
-------------------------------------
①動き商標、②ホログラム商標、③色彩のみからなる商標、④音商標、⑤位置商標
について、商標権による保護が可能になりました。新しい制度の利用を検討してください。
-------------------------------------

皆さんの事業活動において、自己の成果物の適切な保護やトラブル防止、そして
事業発展のお役に立てますよう、わかり易くお伝えしていきたいと思います。

それでは、次回を、どうぞお楽しみに!
(文責:服部耕市)
TOPへ戻る