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注目のABSアソシエイツ起業家紹介♯2

弁護士ドットコム元榮太一郎氏、クラウドワークス吉田浩一郎氏。
アイスタイル吉松徹郎氏、ミクシィ笠原健治氏。
上場後も活躍されるあの方々も、かつてはABS受講生でした。

前回から引き続き、「注目のABSアソシエイツ起業家紹介」として、
ABSで学ばれた経験を持つ起業家に、
起業前から現在までの歩みや、今後のビジョン、戦略等について
本音で語っていただきます。

第二弾は、株式会社インフキュリオン 代表取締役の丸山弘毅氏です。

なお、このコーナーの取材・記事執筆は、元ジャパンタイムズで、
現在フリーで活躍される井内千穂さんが担当します。


株式会社インフキュリオン代表取締役 丸山 弘毅氏



「スマホで口座管理 インフキュリオン」

という見出しが目に飛び込んできた4月4日付日経新聞の金融面。
金融と情報技術を活用するフィンテック関連ベンチャー、インフキュリオン・グループは
銀行と組み、スマホで銀行口座の収支状況を管理できるサービスを始める。

傘下に、インフキュリオン(決済サービスのコンサルティング)、
リンク・プロセシング(スマホ決済事業)、カードウェーブ(出版事業)を擁する
インフキュリオン・グループ全体とインフキュリオンの代表を兼務する丸山弘毅氏は、
日本のフィンテック業界を代表する一人。

学生時代はまさにインターネットの黎明期。
ヤフーが伸びる、楽天ができたという世の中でIT業界に興味を持った丸山氏は、
eコマースによってモノの買い方が変わる、物流が変わるという方向性を感じつつ、
さまざまな業界の話を聞く中で気づいたという。

「その先で変わるのは実はおカネだろう。」

1999年大学卒業。その「勝手な妄想の下に」JCBに入社し、
業界初となるOne to Oneマーケティングシステムの構築、新規事業開発、
同社最大規模のM&A案件の実行など、華々しい実績を重ねた。
そして2006年、丸山氏を含むJCB出身者4名共同で株式会社インフキュリオンを設立。

「JCBを辞めた時期は4人ばらばらです。会社を設立した直後ではなく、
 担当事業をやりきってから辞めたので、直属の役員や当時の社長からも
 『今までよく頑張ってくれた』というお言葉をいただきました。」


ABSに通ったのは、会社設立後まだJCBに在籍していた頃で、『ベンチャー事業創造講座』と
アカウンティングに関する講座(現『戦略的アカウンティング講座』)を受講した。

「起業しようという“変人”たちと話したかったんですね。」
と笑う丸山氏。
大企業には優秀な人材が多いが起業するタイプとは異なる。
他のビジネススクールにも通ってみたが、やはり、大企業で出世していくタイプの人たちが多かった。
ゼロからやろうとしている変人の自分を確かめようと思った時、選択肢はABSしかなかったという。
いくつもあった事業アイデアの中の一つを引っ提げて受講。
授業のペースでプランを作り込める、他の受講生から質問されることで気づきが得られる、
先生方からも厳しい突っ込みがあるなど、受講の意義は大きかったという。

丸山氏が目指す“キャッシュレス社会”とはどういうものなのか?

「キャッシュでないほうが安全で速いということです。」

消費者にとってわかりやすいところでは、現金だと失くしたらそれまでだが、
電子マネーであれば、決済用のスマホを盗まれ使われても、
サーバー上で管理されているので後から戻せるということ。
支払いも、ETCやSUICAやPASMOにすれば、現金の小銭を出す手間がかからない。
また、いつ、何に使ったのか、簡単に記録に残りデータ化されるので管理しやすいのもメリットだ。

キャッシュレスの社会的意義はさらに大きい。
店舗で現金払いにするとレジで死蔵され世の中に回らない。
現在、フリーズしているおカネが200兆円から300兆円にも上ると言われるが、
電子決済になればキャッシュの流れが促進され、
企業の経済活動のスピードが爆発的に速くなると丸山氏は説明する。

また、現金で銀行に預けて海外送金すると決済に一週間近くかかることもあるが、
仮想通貨やインターネット上の通貨であれば、銀行の回線を使わずとも、
インターネット上でデジタル通貨の価値を送ることができる。

「グローバル化の広がりとスピードを考えると、電子決済になっていくのは必然です。」
と丸山氏は語った。

インフキュリオン・グループのスマホ決済端末は、楽天スタジアム、
ヤフースタジアムなどの球場や表参道のヨックモック本店をはじめ、
飲食、タクシー業界、保険やカードの申し込みなどに幅広く導入されており、
気づかぬうちに利用しているのかも知れない。

さらに今、大手金融機関と共同で、スマホの決済端末を使って
口座振替依頼書のような紙を世の中からなくす仕組みを進めている。

「口座引き落としもキャッシュレスの一つ」と説明する丸山氏は、さらに、
アイドルエコノミー(シェアリング・エコノミー)やIoTの時代を迎え、
モノを所有するのではなく使った分だけが口座から引き落とされるようになれば、
支払いという行為自体がなくなるとの世界観を示した。

「すべてが、電気代や携帯使用料のような払い方になっていくわけです。」

地方の小規模な小売店でも電子決済ができるよう、2020年の東京オリンピックを目標に、
経済産業省主導で電子マネーのインフラの普及が進められており、
クレジットカードのIC化も徹底されていく。
インフキュリオン・グループのスマホ決済端末は、中国人観光客が使う銀聯カードを含め、
すべてのICカードリーダーに対応できるのが強みだ。
これも、業界の動きがある程度わかっていて、
当初からそうした機能を備えた端末を開発したことによる。

「そうすると、自社ブランドを打ち出すマーケティングをしなくても、
 大企業にどんどん導入していただき、さまざまな業界が自然に売ってくださることになります。」


キャッシュレスへ向かう際のリスクとして乗り越えなければいけないのは、
セキュリティの問題である。
ネット上でお金が消失してしまうとか、
誰かに抜き取られてしまうというようなリスクに対応するには、やはり、
信頼できる会社、信頼できるセキュリティが必要だ。

「たとえば、フィンテック協会で一定の基準を設け、
 その基準を満たしているフィンテック企業なら、大手金融機関と同じように
 安心して使っていただけるようにする、などの対策を考えています。」


一般社団法人フィンテック協会は2015年9月設立。
2014年秋頃から「2か月に一度ぐらいの飲み会」で
メンバー企業同士の情報交換を行っていたフィンテック・ミートアップに、
やがて、金融庁の官僚、国会議員、大企業の社員なども個人的に参加するという発展を見て
組織化されたものだ。
丸山氏は当初からのメンバーとして代表理事の一人に就任した。

「“フィンテック”を一過性のバズワードではなく、継続していくエコシステムにします。
 技術や消費者行動の進化によって、新しいフィンテック・サービスがどんどん生まれ、
 育っていく、そのこと自体がフィンテックなのです。」

と丸山氏は語る。

2016年2月には、日本初のフィンテック集積拠点「FINOLAB」が大手町に誕生。
スタートアップの創業・成長を支援し、大企業や投資家へのプレゼンテーションや
マッチングの拠点となるインキュベーションオフィスである。

「新しく立ち上げる方は、最先端のテクノロジーを持っているエンジニアが多く、
 いきなりブロックチェーンでビジネスを始めるなど、
 より革新的なサービスを提供していますね。
 これまでなかなかベンチャーに来なかった人たちもどんどん入ってきています。」

という印象を持つ丸山氏は、今は競合というよりは良きライバルであり、
まだまだ小さいマーケット自体を拡大することが重要だと語った。

振り返れば、設立から間もない2008年、リーマンショックに見舞われ、
資金調達が全くできない時期がしばらく続いた。
しかし、
「焦らず地に足をつけて、やれることをやろうと原点回帰することで
 4人のチームがより強くなった。」

と丸山氏は語る。
インフキュリオンでは2010年頃からスマホ決済事業を始めるなど、
フィンテックのハシリのようなサービスが動き始め、
世の中にフィンテックが出回った頃には既に業界の第一人者になっていた。

インフキュリオン・グループのもう一つの強みは、大企業とのタイアップである。

実績の乏しいスタートアップ企業が大企業と組むのは至難の業であるが、
グループ内のリンク・プロセシングは、
2012年にNTTドコモから出資を受けたという稀有な例であり、
UCカードや元の古巣JCBといったカード会社からの出資も受けている。
「会って自分を信じてもらうしかなかった」という丸山氏は、
サービスの革新性などベンチャー的な理屈を押し付けるのではなく、
組織に所属する一個人では難しい人脈なども駆使し、大企業側への価値提供に努めた。
丸山氏が、元の古巣である大企業でも活躍した人材であり、
大企業の文化もよく理解していたからこそのアプローチであろう。

時代の変化に対応するために、大手金融機関もフィンテック関連の新規事業を進めつつある。
一つは、ブロックチェーン技術はAIを活用し、
人や既存のシステムを使わない抜本的なシステム改革。
もう一つは、スマホアプリなど、ユーザーに今すぐ提供でき、目に見えるサービス。
いずれにしても、技術革新のスピードは速く、
大手が社内で開発するよりは、最新の技術を持ったベンチャー企業と提携していこうという動きが
最近ようやく出てきたところである。

ABSが電通グループと進めようとしている“A&Dグロースプロジェクト”は、
まさにそういう発想に基づき今年本格的にスタートする。
大組織とも協働してビジネスを展開できる起業家が世の中に圧倒的に足りず、
ベンチャー側のレベルアップも課題である。
インフキュリオンの先駆的な事例は、スタートアップ企業にとっても
大きな希望をもたらすものである。

4月22日には、クレジットカード決済におけるセキュリティの最新動向をテーマに
セミナーを開催したばかり。
インフキュリオン・グループの今後の躍進にも目が離せない。

インフキュリオン丸山氏
左:丸山氏  右:ABS統括責任者 加藤
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