議事録
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2009年 第3期 第8回 その他
『大前研一講義(特別編)』
~アタッカーズ受講生が、大前研一に聞く!辛口問答会 アタッカーズ・ビジネススクール 塾長 大前研一
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| 開催日時 | 2009年12月20日(日) 14:00~17:00 |
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| 仕事のレベルを高めたい!会社を自分の手で良くしたい!新しい事業を興したい! 熱い動機で自分を磨く、アタッカーズ受講生が塾長・大前研一へ、政治・社会・ビジネス… 気になるあれこれを聞いちゃいました。 「どんどん俺に聞いてみろ!」そんな大前研一と受講生との一問一答を、一部ご紹介します。 |
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講義録
◆政治・社会問題
Q.受講生
日本は借金だらけで、将来が心配です。
為替を円安に導いてインフレを起こさせると、日本は借金を返せますか?
A.大前研一
「GDPに対するマネーサプライを増やせば、ハイパーインフレが起きる」
これは後進国の理論で、先進国ではハイパーインフレは起こりようがない。いくら市場にカネを供給しても、そもそもカネを使うニーズが無いからだ。国民の財布の紐は固いし、企業の投資も減価償却の範囲に留まっている。だから、いくらカネをじゃぶじゃぶにしても、日本では、ハイパーインフレになりようがない。
Q.受講生
09年12月のCOP15(世界環境会議)の決議内容に疑問があります。
環境対策について、大前さんの考えをお聞かせください。
A.大前研一
世界のポルーション(環境破壊)は、米国と中国によって起因している。米国と中国がCO2排出量の8割を占めている。欧州と日本が頑張っても、問題の解決には至らない。米国の家庭は、5月から9月まで冷房をつけっぱなし。止めることは無い。冬の暖房もそう。中国は、どこに行っても公害がひどい。光化学スモッグが、偏西風に乗って九州までやってくる。
ポルーションに関しては、まずこの2カ国が解決することが先決。それで足りなければ、他の国が金と技術を出して何とかする。これしか無い。100何カ国が集まる会議なんて、ナンセンスだ。途上国が成長軌道に乗るまでは、どうしても公害を起こしてしまう。日本も、かつては川も海も空も、公害が蔓延していた。でも、今は努力して、相当な改善をしている。
中国も、今の延長では駄目。やるべき時期だ。
◆少子・雇用
Q.受講生
子供を対象にしたビジネスを考えていますが、少子がどこまで進むのか心配です。
少子化への有効対策があるとすれば、何でしょうか?
A.大前研一
フランスのように、子供2人なら毎月1万5千円、3人なら毎月6万円と、子供の数に応じて給付額が増える制度があれば良い。かつて少子化で悩んでいたフランスも、現在は子供の数が増え始めている。短期的には移民を受け入れる方法もある。米国やスペインなど、移民を受け入れている国は、社会そのものがダイナミックだ。日本が今のGDPを維持するには、毎年39万人の移民を受け入れる必要がある。計画的に質が高い移民を受け入れているシンガポールが良い例だ。
Q.受講生
不況で、自分の周りでもリストラが増えています。
日本で雇用を生み出す、動機契機は?
A.大前研一
若手であれば、自分自身でどうにかする。働く気が無い、スキルが無い、自分で努力しない。そうした人間に、雇用を見つけるのは不毛だ。言い方は厳しいが、日本はぬるま湯に漬かっていられる状況ではない。
IMF危機以降の韓国は強くなった。僕が教えていた高麗大学や梨花女子大学の入学基準は、TOEIC850点以上。LGやサムソンの入社条件は、TOEIC750点と言っているが、実際は850点以上でふるいをかける。現在の韓国は、日本に比べると桁違いの語学力と、世界中どこにも飛んでいくアグレッシブさがある。IMF危機以降の韓国は、傑出した人材を作るようになった。
落ち込むところまで落ち込むのも重要。IMF危機は、彼らにとっては相当の屈辱だった。
無理をして作った雇用はうまくいかない。それよりは、どこに行っても通用する人材をつくる方が良い。世界には、優秀な人がいくらでもいる。
日本には危機感が無い。自分で危機感を持って、生き残れる人間が生き残る。その方が日本は強い国になる。
◆ビジネス
Q.受講生
アジアでエンタメビジネスをすることに、興味を持っています。
エンタテインメントで、成長する国はどこだと思いますか?
A.大前研一
日本に近い国は韓国。インドと中国は、この分野では遅れている認識を持っていて、スタジオや大学の施設の充実に力を入れ始めている。インドネシアも同様に、世界標準の機器を入れるようになってきた。韓国ドンセオ大学のスタジオを見せてもらった時は、設備の凄さに腰が抜けた。
どこが、というより全ての国が、エンタテインメント分野に力を入れている状況だ。
この分野では、日本はリードしていたが、今後はこれまで通りにはいかないだろう。クリエイティブは、まだ日本が優れている。このリードもいつまで保てるか分からない。
ポーランドやハンガリーなど東欧系も見逃せない。ルーマニアは人件費が安いし、ポーランドは映画が強い。非常にITが進んでいるのは、ロシア・ウクライナ・ベラルーシだ。インテルや、ボーイング等米国企業は、既にここを取り込んでいる。その規模は、本国と同等の規模だ。
エンタテインメントの分野は、もはや米国、日本に限られたものではない。
Q.受講生
海運会社に勤めています。業界は、古い体質からなかなか抜け出せないのですが一方で貿易の量が減っています。今後海運会社にチャンスはありますか?
A.大前研一
チャンスは無い。古い体質から抜け出さない限りは、だ。
他方では中国が大きな船団を持ち、日本ができない掟破りな商売を始めている。日本の海運会社は古い慣習を壊し、徹底したLCC(Low Cost Carrier)で対抗すべき。やるのなら、古い慣習の上に積み上がった人件費を気にせず、徹底してやる。
または、掟の外を行く小さな会社を買収して、会社の一部を移す。チャンスがあるとすれば、このどちらかだ。
日本の港湾。かつては横浜や神戸が取扱量世界一だったが、今ではトップ20にも入らない。
シンガポールや香港でさえ取扱量が減っている。中国の沿岸は今後も有力だ。上海の新しいターミナルは、世界への真っ向勝負で来ている。日本も、新しい道筋を見出すべきだ。
Q.受講生
日本航空に勤めています。
日本航空を復活させるには、LCC(Low Cost Carrier)が決め手になりますか?
A.大前研一
JALのノウハウを、LCC(Low Cost Carrier)として生まれ変わらせる。これは欠かせない。
但し、現在の延長でLCCを作っても駄目。ゼロから全てを作り上げるか、若干の金があれば、アラスカ航空の3分の1を買えば良い。米国からのフィーダーとして、例えば、千歳航空を第2ハブに使う。米国からの貨物全てを千歳に持ってきて、日本国内や中国に運ぶ。
アスクルが良い例だ。アスクルはプラス株式会社の完全子会社だ。
仮にプラスが、プラスの事業部としてアスクルを始めていれば、今のように上手くいかなかっただろう。ゼロから作ったから、現在のアスクルができた。
日本航空も同じ。一切のしがらみを持たないものを作るしか、解決策は無い。それと忘れてはいけないのが、ユーザーの視点。ユーザーは、安全で・安く・時間が正確な航空会社を選ぶ。
日本航空の代わりならいくらでもある。社内の論理がユーザーより優先される会社は、生きていけないだろう。
Q.受講生
中国が、外国のIT商品のソースコード公開を求めている、という記事を目にしました。
中国ビジネスは、リスクが高いように思います。
A.大前研一
IT製品のソースコードの公開を要請する「強制認証制度」は沙汰読みになったが、それ程気にすることは無い。中国の目的は、インターネット上の不穏な動きをコントロールすること。サイバーテロが起きたら、政権は安定ではないという見解があるからだ。そのためYou Tubeは使えないし、Googleにも規制がかかっている。
中国の政権を揺るがすビジネスをするのなら別だけど、心配することは無い。
考えすぎず、まずは飛び込んで行ってごらんよ。
Q.受講生
中国で成功している、サービス業やB2B企業は?
A.大前研一
BPO(Business Process Outsourcing)の領域では、800社位の日本企業が中国に進出している。日本勢同士の競争だけでも厳しい状態だ。
B2Bでは、工作機械・生産機械のほとんどは日本製だ。例えばエレベーターでは、日立、三菱が高いシェアを占めている。建築機械では、コマツが一番。盗難やメンテナンスを衛星で管理する等、顧客からの高い信頼と地位を築いている。中国では非常にうまくいっている事例だ。
深く静かに浸透している企業もある。中国ではTOTOは、ルイ・ヴィトンと同等の高級ブランドだ。世界中どこに行っても強いと感じているのは、ダイキン。遥々行った国のエアポートでも、ダイキンの看板が立っている。大金星(ダイキン・星)だ。
◆ビジョン・マインド
Q.受講生
大前さんがコンサルティングで感じている、企業の経営者の根源的な悩みは何ですか?
A.大前研一
経営者の悩みは、業界によって違う。
ただ共通して思うのは、現在の経営者には元気がない。チャレンジする勇気を持たないんだ。
確かに、現在の経営者が抱える問題は、経営者自身、過去に経験したことがない問題ばかりだ。
それでも、新しい領域にチャレンジすべきだと思う。
僕がコンサルタントとして、一緒にやってきた世代の経営者は、分からなくても開き直ってやる覚悟があった。でも、今の経営者は、縦横斜めに色々と考えすぎる。
だから最近のコンサルティングは時間がかかる。経営者に、勇気そのものを与えなくちゃいけないから。
韓国や中国に行くと、まだ“それ行けどんどん”の経営者に出会う。台湾なんかは「自分に能力が無ければ、能力がある人間を連れてくれば良い」という考えが強い。
アジアや欧州は、その考えが顕著だ。
例えば09年12月に、世界最高の証券取引システムを開発するOMX社(スウェーデン)と米ナスダックと合併した「ナスダックOMX」のマグナス・ボッカー社長が、シンガポール証券取引所の最高経営責任者(CEO)に就任した。世界最大の食品会社ネスレ(スイス)のトップも4代に渡ってスイス人ではない。世界最強の人間を連れてくる。世界では、これは同然のことだ。
Q.受講生
将来のビジョンを持ちたいと思って、アタッカーズに来ました。
大前さんは、夢やモチベーションをどうやって醸成していますか?
A.大前研一
夏はバイク、冬はスノーモービルに乗って山を走っている。週末は必ず山だ。
週末に遊ぶ。モチベーションは、それだけ。
僕は、マッキンゼーという恵まれた所で、世界中を見てきたし、自分で開発してきたノウハウがある。それと現在は、学生に囲まれているので、年齢の割に新しいことが入って刺激を受けている。
ビジネス面でのモチベーションは、僕が知っていることを教育という形で、死ぬまで皆さんに伝えること。落語等あらゆる芸がそうであるように、弟子は師匠の技を盗んで勉強をする。皆さんも、全部持っていけば良い。僕は死ぬまで、亡霊になっても、教え続ける。
口幅ったい言い方だけれども、IBMやGEのボードメンバーになった日本人は、一人もいない。世界トップ企業のボードメンバーになる韓国人や中国人は、これから大勢出てくる。
非米国人、例えばドイツ人やインド人では、既に大勢のボードメンバーが出ている。マッキンゼーでも、いい所まで行く日本人はいるが、最後で気後れしてしまう。日本人は、もっと図々しくならなきゃ。僕の良い所は、気後れしない所。学生の頃から通訳案内業として、偉い人を仕切ってきたから、図々しさは半端じゃない。この性格では、日本企業では生きていけなかった。
とにかく、僕は知っていることを、死ぬまでにひとつ残らず教えたい。それが現在のモチベーションだ。
【まとめ 大前研一から受講生へ】
皆、アタッカーズ・ビジネススクールを出た以上は、何か野心的なことをやってほしい。
そのために必要なのは「考える」習慣だ。
例えば「土曜日の午後は、読んだ本やマクロデータの奥を考える時間にする」等習慣にしてしまえば良い。
日本は、“覚えること”が中心の教育をしているから、考える癖がついていない。数字を見たら、どういう意味か考える。これで商売をするには、これで儲けるにはどうすれば良いのか。こういうことを考えてほ
Q.受講生
日本は借金だらけで、将来が心配です。
為替を円安に導いてインフレを起こさせると、日本は借金を返せますか?
A.大前研一
「GDPに対するマネーサプライを増やせば、ハイパーインフレが起きる」
これは後進国の理論で、先進国ではハイパーインフレは起こりようがない。いくら市場にカネを供給しても、そもそもカネを使うニーズが無いからだ。国民の財布の紐は固いし、企業の投資も減価償却の範囲に留まっている。だから、いくらカネをじゃぶじゃぶにしても、日本では、ハイパーインフレになりようがない。
Q.受講生
09年12月のCOP15(世界環境会議)の決議内容に疑問があります。
環境対策について、大前さんの考えをお聞かせください。
A.大前研一
世界のポルーション(環境破壊)は、米国と中国によって起因している。米国と中国がCO2排出量の8割を占めている。欧州と日本が頑張っても、問題の解決には至らない。米国の家庭は、5月から9月まで冷房をつけっぱなし。止めることは無い。冬の暖房もそう。中国は、どこに行っても公害がひどい。光化学スモッグが、偏西風に乗って九州までやってくる。
ポルーションに関しては、まずこの2カ国が解決することが先決。それで足りなければ、他の国が金と技術を出して何とかする。これしか無い。100何カ国が集まる会議なんて、ナンセンスだ。途上国が成長軌道に乗るまでは、どうしても公害を起こしてしまう。日本も、かつては川も海も空も、公害が蔓延していた。でも、今は努力して、相当な改善をしている。
中国も、今の延長では駄目。やるべき時期だ。
◆少子・雇用
Q.受講生
子供を対象にしたビジネスを考えていますが、少子がどこまで進むのか心配です。
少子化への有効対策があるとすれば、何でしょうか?
A.大前研一
フランスのように、子供2人なら毎月1万5千円、3人なら毎月6万円と、子供の数に応じて給付額が増える制度があれば良い。かつて少子化で悩んでいたフランスも、現在は子供の数が増え始めている。短期的には移民を受け入れる方法もある。米国やスペインなど、移民を受け入れている国は、社会そのものがダイナミックだ。日本が今のGDPを維持するには、毎年39万人の移民を受け入れる必要がある。計画的に質が高い移民を受け入れているシンガポールが良い例だ。
Q.受講生
不況で、自分の周りでもリストラが増えています。
日本で雇用を生み出す、動機契機は?
A.大前研一
若手であれば、自分自身でどうにかする。働く気が無い、スキルが無い、自分で努力しない。そうした人間に、雇用を見つけるのは不毛だ。言い方は厳しいが、日本はぬるま湯に漬かっていられる状況ではない。
IMF危機以降の韓国は強くなった。僕が教えていた高麗大学や梨花女子大学の入学基準は、TOEIC850点以上。LGやサムソンの入社条件は、TOEIC750点と言っているが、実際は850点以上でふるいをかける。現在の韓国は、日本に比べると桁違いの語学力と、世界中どこにも飛んでいくアグレッシブさがある。IMF危機以降の韓国は、傑出した人材を作るようになった。
落ち込むところまで落ち込むのも重要。IMF危機は、彼らにとっては相当の屈辱だった。
無理をして作った雇用はうまくいかない。それよりは、どこに行っても通用する人材をつくる方が良い。世界には、優秀な人がいくらでもいる。
日本には危機感が無い。自分で危機感を持って、生き残れる人間が生き残る。その方が日本は強い国になる。
◆ビジネス
Q.受講生
アジアでエンタメビジネスをすることに、興味を持っています。
エンタテインメントで、成長する国はどこだと思いますか?
A.大前研一
日本に近い国は韓国。インドと中国は、この分野では遅れている認識を持っていて、スタジオや大学の施設の充実に力を入れ始めている。インドネシアも同様に、世界標準の機器を入れるようになってきた。韓国ドンセオ大学のスタジオを見せてもらった時は、設備の凄さに腰が抜けた。
どこが、というより全ての国が、エンタテインメント分野に力を入れている状況だ。
この分野では、日本はリードしていたが、今後はこれまで通りにはいかないだろう。クリエイティブは、まだ日本が優れている。このリードもいつまで保てるか分からない。
ポーランドやハンガリーなど東欧系も見逃せない。ルーマニアは人件費が安いし、ポーランドは映画が強い。非常にITが進んでいるのは、ロシア・ウクライナ・ベラルーシだ。インテルや、ボーイング等米国企業は、既にここを取り込んでいる。その規模は、本国と同等の規模だ。
エンタテインメントの分野は、もはや米国、日本に限られたものではない。
Q.受講生
海運会社に勤めています。業界は、古い体質からなかなか抜け出せないのですが一方で貿易の量が減っています。今後海運会社にチャンスはありますか?
A.大前研一
チャンスは無い。古い体質から抜け出さない限りは、だ。
他方では中国が大きな船団を持ち、日本ができない掟破りな商売を始めている。日本の海運会社は古い慣習を壊し、徹底したLCC(Low Cost Carrier)で対抗すべき。やるのなら、古い慣習の上に積み上がった人件費を気にせず、徹底してやる。
または、掟の外を行く小さな会社を買収して、会社の一部を移す。チャンスがあるとすれば、このどちらかだ。
日本の港湾。かつては横浜や神戸が取扱量世界一だったが、今ではトップ20にも入らない。
シンガポールや香港でさえ取扱量が減っている。中国の沿岸は今後も有力だ。上海の新しいターミナルは、世界への真っ向勝負で来ている。日本も、新しい道筋を見出すべきだ。
Q.受講生
日本航空に勤めています。
日本航空を復活させるには、LCC(Low Cost Carrier)が決め手になりますか?
A.大前研一
JALのノウハウを、LCC(Low Cost Carrier)として生まれ変わらせる。これは欠かせない。
但し、現在の延長でLCCを作っても駄目。ゼロから全てを作り上げるか、若干の金があれば、アラスカ航空の3分の1を買えば良い。米国からのフィーダーとして、例えば、千歳航空を第2ハブに使う。米国からの貨物全てを千歳に持ってきて、日本国内や中国に運ぶ。
アスクルが良い例だ。アスクルはプラス株式会社の完全子会社だ。
仮にプラスが、プラスの事業部としてアスクルを始めていれば、今のように上手くいかなかっただろう。ゼロから作ったから、現在のアスクルができた。
日本航空も同じ。一切のしがらみを持たないものを作るしか、解決策は無い。それと忘れてはいけないのが、ユーザーの視点。ユーザーは、安全で・安く・時間が正確な航空会社を選ぶ。
日本航空の代わりならいくらでもある。社内の論理がユーザーより優先される会社は、生きていけないだろう。
Q.受講生
中国が、外国のIT商品のソースコード公開を求めている、という記事を目にしました。
中国ビジネスは、リスクが高いように思います。
A.大前研一
IT製品のソースコードの公開を要請する「強制認証制度」は沙汰読みになったが、それ程気にすることは無い。中国の目的は、インターネット上の不穏な動きをコントロールすること。サイバーテロが起きたら、政権は安定ではないという見解があるからだ。そのためYou Tubeは使えないし、Googleにも規制がかかっている。
中国の政権を揺るがすビジネスをするのなら別だけど、心配することは無い。
考えすぎず、まずは飛び込んで行ってごらんよ。
Q.受講生
中国で成功している、サービス業やB2B企業は?
A.大前研一
BPO(Business Process Outsourcing)の領域では、800社位の日本企業が中国に進出している。日本勢同士の競争だけでも厳しい状態だ。
B2Bでは、工作機械・生産機械のほとんどは日本製だ。例えばエレベーターでは、日立、三菱が高いシェアを占めている。建築機械では、コマツが一番。盗難やメンテナンスを衛星で管理する等、顧客からの高い信頼と地位を築いている。中国では非常にうまくいっている事例だ。
深く静かに浸透している企業もある。中国ではTOTOは、ルイ・ヴィトンと同等の高級ブランドだ。世界中どこに行っても強いと感じているのは、ダイキン。遥々行った国のエアポートでも、ダイキンの看板が立っている。大金星(ダイキン・星)だ。
◆ビジョン・マインド
Q.受講生
大前さんがコンサルティングで感じている、企業の経営者の根源的な悩みは何ですか?
A.大前研一
経営者の悩みは、業界によって違う。
ただ共通して思うのは、現在の経営者には元気がない。チャレンジする勇気を持たないんだ。
確かに、現在の経営者が抱える問題は、経営者自身、過去に経験したことがない問題ばかりだ。
それでも、新しい領域にチャレンジすべきだと思う。
僕がコンサルタントとして、一緒にやってきた世代の経営者は、分からなくても開き直ってやる覚悟があった。でも、今の経営者は、縦横斜めに色々と考えすぎる。
だから最近のコンサルティングは時間がかかる。経営者に、勇気そのものを与えなくちゃいけないから。
韓国や中国に行くと、まだ“それ行けどんどん”の経営者に出会う。台湾なんかは「自分に能力が無ければ、能力がある人間を連れてくれば良い」という考えが強い。
アジアや欧州は、その考えが顕著だ。
例えば09年12月に、世界最高の証券取引システムを開発するOMX社(スウェーデン)と米ナスダックと合併した「ナスダックOMX」のマグナス・ボッカー社長が、シンガポール証券取引所の最高経営責任者(CEO)に就任した。世界最大の食品会社ネスレ(スイス)のトップも4代に渡ってスイス人ではない。世界最強の人間を連れてくる。世界では、これは同然のことだ。
Q.受講生
将来のビジョンを持ちたいと思って、アタッカーズに来ました。
大前さんは、夢やモチベーションをどうやって醸成していますか?
A.大前研一
夏はバイク、冬はスノーモービルに乗って山を走っている。週末は必ず山だ。
週末に遊ぶ。モチベーションは、それだけ。
僕は、マッキンゼーという恵まれた所で、世界中を見てきたし、自分で開発してきたノウハウがある。それと現在は、学生に囲まれているので、年齢の割に新しいことが入って刺激を受けている。
ビジネス面でのモチベーションは、僕が知っていることを教育という形で、死ぬまで皆さんに伝えること。落語等あらゆる芸がそうであるように、弟子は師匠の技を盗んで勉強をする。皆さんも、全部持っていけば良い。僕は死ぬまで、亡霊になっても、教え続ける。
口幅ったい言い方だけれども、IBMやGEのボードメンバーになった日本人は、一人もいない。世界トップ企業のボードメンバーになる韓国人や中国人は、これから大勢出てくる。
非米国人、例えばドイツ人やインド人では、既に大勢のボードメンバーが出ている。マッキンゼーでも、いい所まで行く日本人はいるが、最後で気後れしてしまう。日本人は、もっと図々しくならなきゃ。僕の良い所は、気後れしない所。学生の頃から通訳案内業として、偉い人を仕切ってきたから、図々しさは半端じゃない。この性格では、日本企業では生きていけなかった。
とにかく、僕は知っていることを、死ぬまでにひとつ残らず教えたい。それが現在のモチベーションだ。
【まとめ 大前研一から受講生へ】
皆、アタッカーズ・ビジネススクールを出た以上は、何か野心的なことをやってほしい。
そのために必要なのは「考える」習慣だ。
例えば「土曜日の午後は、読んだ本やマクロデータの奥を考える時間にする」等習慣にしてしまえば良い。
日本は、“覚えること”が中心の教育をしているから、考える癖がついていない。数字を見たら、どういう意味か考える。これで商売をするには、これで儲けるにはどうすれば良いのか。こういうことを考えてほ





