議事録
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2009年 第3期 第6回 その他
大前研一特別講義 講義議事録(中編)
~ 間違いだらけの中国脅威論。でかいアジアの活用法を知れ! アタッカーズ・ビジネススクール 塾長 大前研一
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| 開催日時 | 2009年12月20日(日) 14:00~17:00 |
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| アタッカーズ・ビジネススクール塾長・大前研一による、 たっぷり3時間の生講義【中編】。世界や日本における大量かつ多様な情報が、 辛口の大前節によってスルスルと飛び出す! ぜひお楽しみにください! | ![]() |
講義録
■中国の規模感
アジアはでかい。皆さんもまずは、中国の規模感を知るべきだな。
日本の鉄道は2万km。中国は8万kmで2020年までにあと4万km―日本の全鉄道の2倍の線路を敷く計画がある。
次に高速道路。日本は7,666km、この間中国は6万kmの高速道路を造った。中国は今も年間12,000kmの高速道路を造っている。これには大量のコンクリートと鉄を使う。日本はかつて世界一の鉄鋼生産国だった。日本のピークは1億2,000万トン。中国は5億トン。したがって世界でダントツの1位。
そして電話。日本は1億1,000万サブスクライバ。中国は6億3,000万サブスクライバです。日本ばかりでなく米国も抜かれた。トップであるチャイナ・モバイルは4億5000万件、その次のチャイナ・ユニコムは1億4,000万件。NTTドコモは5,500万件。
しかも中国は、1年間のサブスクライバの上昇だけで、NTTドコモを抜いちゃうんだから。NTTドコモが毎年重なってんだよ。だから時価総額も半端じゃない。17兆円。NTTドコモは5兆円。もしチャイナ・モバイルがM&Aを始めたら、台湾の770社の全上場企業が1社で買えちゃうんだよ。
世界の時価総額ランキングには、トヨタが21位に出てくるだけで日本企業は一切ない。かつてはトップ20に7社程日本企業が入っていたんだよ? 中国には巨大な会社が沢山ある。時価総額も大きくなった。M&Aで、世界中の大企業を買えるようになった。これはこの4~5年の新しい現象にすぎない。まだ中国は、大きな伸びしろを残しているんだ。
去年までの中国はフェーズ1。
生産基地として安い労賃でモノを作り、世界に輸出してきた。
09年1月からはフェーズ2。
中国の国内市場は馬鹿でかい。これを制した者が勝つ。だからGMも、中国だけは手放さなかったんだ。
その中国で活躍している日本の企業。成都ではイトーヨーカドー、上海周辺ではサントリー。そして広州のホンダや東風と提携した日産・・・この2社は相当強くなり、60万台から100万台まで売れるようになってきた。
地場の企業も強くなっている。吉利汽車が高級車ブランド「ボルボ」を買った。「ボルボ」はブランドもあるし、世界の販売網を持っているし、技術もある。吉利汽車は、20年間の成長を買ったことになる。こういう会社は、いくつか出てきていている。
中国はフェーズ2だ。
皆さんは中国に乗り込んで、がっぽり商売をするんだな。
例えば、日本でラーメンのチャンピオン企業と言えば日清食品。ところが中国に行ってみると、サンヨー食品のほうがでかい。理由は簡単。サンヨー食品は、大連にラーメン工場を造ったがうまく行かなかった。そこにちょうど頂新という台湾企業が、工場を欲しいと言ってきた。但し値段が合わない。そこでサンヨー食品は、頂新の株を1/3もらった。そしたら、頂新が「康師父(カンシーフ)」というラーメン大成長。今や50億食だよ。
だから日清食品が、自力で中国を開拓しようが間にあわない。この「康師父」の販売店は20万店。中国で販売経路を作ろうと思ったら、20万店を回らないといけない。
そしたら他の食品メーカーが頂新に、うちのも販売してください、と言って業務提携を結んだ。今は色んな企業が、頂新に業務提携を申し出ている。
頂新という台湾の小さな会社が、中国に行って大成功した
実は日本企業でも、向こうで一旗揚げている会社が結構あるんだ。
例えば、初めて上海で上場した日本企業で、マツオカ(中国茉織華)という会社。
アパレル企業で、日本での競争力はほとんど無い。そこで上海郊外の浙江省に、日中合弁で縫製工場を作った。そしたら日本の色んなメーカーから発注が入って、大成功。
今や中国最大のアパレル会社になっちゃったよ。
マブチモーターもそうで、今は売上高のほとんどが中国だ。
義経伝説のように、気が付いたら向こうでチャンピオンになっている企業は多い。そんな会社は、これから先も強いよ。
このように我々は、中国の活用法が分かってきた。
中国では、外資として商売をやると色々問題があるが、中国と一体化してやりきると、中国人は愛国心が強い国民性があるから、どんどん応援してくれる。
日中合弁で成功したマツオカはその好例だ。マツオカが、アパレルの次に印刷事業を始めたら、なんと中国政府から注文が入っちゃった。皆さんは海外に行く時に、出入国カードを書くでしょ? 実は中国の出入国カードは、マツオカが印刷しているんだ。だから中国は面白いんだな。
■市場は中国だけじゃない!見逃せない5兆ドルの在り処
新興国が「貧乏な国」という考えは、ちょっと違う。
世界には、1日2ドルしか稼げない貧困層が40億人いる。でもこれは裏を返すと、5兆ドルの需要が隠されていることになるんだ。
C.K.プラハラードというミシガン大学の教授が『Wealth at the Bottom of the Pyramid(邦題:ネクスト・マーケット)』という本を出した。
1日2ドルしか稼げない世界中の40億人が、実は購買する力を持っていて、豊かになりたいと願って生活をしている。そこをターゲットにした商売がインドで生まれてきていて、その事例をプラハラード教授が紹介しているんだ。
このBOP(Bottom of the Pyramid)のビジネスで有名なのが、96年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行のムハマド・ユヌス。バングラデシュで、貧しい人達に無担保で小額のお金(マイクロファイナンス)を貸し出している。同様にインドで成功しているのが、ICICI銀行だ。
他では、ユニ・リーバが、インドの農村で女性達を組織して衛生環境の改善活動を行った。水をろ過する装置を提供して、キレイな水で歯磨きやシャンプーをしてもらうんだ。歯磨きやシャンプーは一袋ずつばら売りする。小さいけれども積み重ねれば山となる、そういう商売だ。
次に中間所得層。ここでは、世帯可処分所得5,001ドル以上3万5,000ドル以下を指すけれども、実は中国では4億4,000 万人がこの層だ。十分な購買力を持っている。
インドは2億1,000万人。インドネシアは8,000万人。
日本は、全人口で1億2,000万人しかいないんだから。
日本で勝負をするのか、それとも国民の平均所得は低いけれども、中間所得層だけでも結構なボリュームがある中国やインド、インドネシアを狙うのか。これもひとつの商売のやり方。
BOPをターゲットにする選択肢もある。ピラミッドの底辺で商売ができる時代になった。BOPで成功すると、世界には同じ層が40億人いる。どこか1カ国で成功すれば、次のターゲットは全世界の40億人だ。これはでかいぜ。
皆さんが、もし日本で苦労して安売りの対象になるのなら、中国や新興国を狙うことも勧めるね。そして成功するためには、インサイダーになりきることが重要だ。10年、20年、骨を埋めるつもりで行きなさい。
この期に及んで日本では逆の現象が起きている。
日本の若い人たちは海外赴任を拒否する。僕らの頃に比べると海外に対して、うんと消極的になっているようだ。僕らの頃は、拒否するチョイスなんて無かった。皆が海外での成功を目指したんだ。
トヨタが米国に進出した当時は、GMとトヨタの間には、業績規模で20倍もの差があった。商品力も弱く、日本車の弱々しい加速では、米国のハイウェイにすら乗れない。そんな頃だったんだ。でもトヨタは米国に乗り込んだ。
いずれにしても皆さんは、中国や新興国をうまく活用することを考えてくれ。
■大前研一特別講義 講義議事録(前編)~ 日本は逆境。 だから今がチャンスなんだ!
アジアはでかい。皆さんもまずは、中国の規模感を知るべきだな。
日本の鉄道は2万km。中国は8万kmで2020年までにあと4万km―日本の全鉄道の2倍の線路を敷く計画がある。
次に高速道路。日本は7,666km、この間中国は6万kmの高速道路を造った。中国は今も年間12,000kmの高速道路を造っている。これには大量のコンクリートと鉄を使う。日本はかつて世界一の鉄鋼生産国だった。日本のピークは1億2,000万トン。中国は5億トン。したがって世界でダントツの1位。
そして電話。日本は1億1,000万サブスクライバ。中国は6億3,000万サブスクライバです。日本ばかりでなく米国も抜かれた。トップであるチャイナ・モバイルは4億5000万件、その次のチャイナ・ユニコムは1億4,000万件。NTTドコモは5,500万件。
しかも中国は、1年間のサブスクライバの上昇だけで、NTTドコモを抜いちゃうんだから。NTTドコモが毎年重なってんだよ。だから時価総額も半端じゃない。17兆円。NTTドコモは5兆円。もしチャイナ・モバイルがM&Aを始めたら、台湾の770社の全上場企業が1社で買えちゃうんだよ。
世界の時価総額ランキングには、トヨタが21位に出てくるだけで日本企業は一切ない。かつてはトップ20に7社程日本企業が入っていたんだよ? 中国には巨大な会社が沢山ある。時価総額も大きくなった。M&Aで、世界中の大企業を買えるようになった。これはこの4~5年の新しい現象にすぎない。まだ中国は、大きな伸びしろを残しているんだ。
去年までの中国はフェーズ1。
生産基地として安い労賃でモノを作り、世界に輸出してきた。
09年1月からはフェーズ2。
中国の国内市場は馬鹿でかい。これを制した者が勝つ。だからGMも、中国だけは手放さなかったんだ。
その中国で活躍している日本の企業。成都ではイトーヨーカドー、上海周辺ではサントリー。そして広州のホンダや東風と提携した日産・・・この2社は相当強くなり、60万台から100万台まで売れるようになってきた。
地場の企業も強くなっている。吉利汽車が高級車ブランド「ボルボ」を買った。「ボルボ」はブランドもあるし、世界の販売網を持っているし、技術もある。吉利汽車は、20年間の成長を買ったことになる。こういう会社は、いくつか出てきていている。
中国はフェーズ2だ。
皆さんは中国に乗り込んで、がっぽり商売をするんだな。
例えば、日本でラーメンのチャンピオン企業と言えば日清食品。ところが中国に行ってみると、サンヨー食品のほうがでかい。理由は簡単。サンヨー食品は、大連にラーメン工場を造ったがうまく行かなかった。そこにちょうど頂新という台湾企業が、工場を欲しいと言ってきた。但し値段が合わない。そこでサンヨー食品は、頂新の株を1/3もらった。そしたら、頂新が「康師父(カンシーフ)」というラーメン大成長。今や50億食だよ。
だから日清食品が、自力で中国を開拓しようが間にあわない。この「康師父」の販売店は20万店。中国で販売経路を作ろうと思ったら、20万店を回らないといけない。
そしたら他の食品メーカーが頂新に、うちのも販売してください、と言って業務提携を結んだ。今は色んな企業が、頂新に業務提携を申し出ている。
頂新という台湾の小さな会社が、中国に行って大成功した
実は日本企業でも、向こうで一旗揚げている会社が結構あるんだ。
例えば、初めて上海で上場した日本企業で、マツオカ(中国茉織華)という会社。
アパレル企業で、日本での競争力はほとんど無い。そこで上海郊外の浙江省に、日中合弁で縫製工場を作った。そしたら日本の色んなメーカーから発注が入って、大成功。
今や中国最大のアパレル会社になっちゃったよ。
マブチモーターもそうで、今は売上高のほとんどが中国だ。
義経伝説のように、気が付いたら向こうでチャンピオンになっている企業は多い。そんな会社は、これから先も強いよ。
このように我々は、中国の活用法が分かってきた。
中国では、外資として商売をやると色々問題があるが、中国と一体化してやりきると、中国人は愛国心が強い国民性があるから、どんどん応援してくれる。
日中合弁で成功したマツオカはその好例だ。マツオカが、アパレルの次に印刷事業を始めたら、なんと中国政府から注文が入っちゃった。皆さんは海外に行く時に、出入国カードを書くでしょ? 実は中国の出入国カードは、マツオカが印刷しているんだ。だから中国は面白いんだな。
■市場は中国だけじゃない!見逃せない5兆ドルの在り処
新興国が「貧乏な国」という考えは、ちょっと違う。
世界には、1日2ドルしか稼げない貧困層が40億人いる。でもこれは裏を返すと、5兆ドルの需要が隠されていることになるんだ。
C.K.プラハラードというミシガン大学の教授が『Wealth at the Bottom of the Pyramid(邦題:ネクスト・マーケット)』という本を出した。
1日2ドルしか稼げない世界中の40億人が、実は購買する力を持っていて、豊かになりたいと願って生活をしている。そこをターゲットにした商売がインドで生まれてきていて、その事例をプラハラード教授が紹介しているんだ。
このBOP(Bottom of the Pyramid)のビジネスで有名なのが、96年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行のムハマド・ユヌス。バングラデシュで、貧しい人達に無担保で小額のお金(マイクロファイナンス)を貸し出している。同様にインドで成功しているのが、ICICI銀行だ。
他では、ユニ・リーバが、インドの農村で女性達を組織して衛生環境の改善活動を行った。水をろ過する装置を提供して、キレイな水で歯磨きやシャンプーをしてもらうんだ。歯磨きやシャンプーは一袋ずつばら売りする。小さいけれども積み重ねれば山となる、そういう商売だ。
次に中間所得層。ここでは、世帯可処分所得5,001ドル以上3万5,000ドル以下を指すけれども、実は中国では4億4,000 万人がこの層だ。十分な購買力を持っている。
インドは2億1,000万人。インドネシアは8,000万人。
日本は、全人口で1億2,000万人しかいないんだから。
日本で勝負をするのか、それとも国民の平均所得は低いけれども、中間所得層だけでも結構なボリュームがある中国やインド、インドネシアを狙うのか。これもひとつの商売のやり方。
BOPをターゲットにする選択肢もある。ピラミッドの底辺で商売ができる時代になった。BOPで成功すると、世界には同じ層が40億人いる。どこか1カ国で成功すれば、次のターゲットは全世界の40億人だ。これはでかいぜ。
皆さんが、もし日本で苦労して安売りの対象になるのなら、中国や新興国を狙うことも勧めるね。そして成功するためには、インサイダーになりきることが重要だ。10年、20年、骨を埋めるつもりで行きなさい。
この期に及んで日本では逆の現象が起きている。
日本の若い人たちは海外赴任を拒否する。僕らの頃に比べると海外に対して、うんと消極的になっているようだ。僕らの頃は、拒否するチョイスなんて無かった。皆が海外での成功を目指したんだ。
トヨタが米国に進出した当時は、GMとトヨタの間には、業績規模で20倍もの差があった。商品力も弱く、日本車の弱々しい加速では、米国のハイウェイにすら乗れない。そんな頃だったんだ。でもトヨタは米国に乗り込んだ。
いずれにしても皆さんは、中国や新興国をうまく活用することを考えてくれ。
■大前研一特別講義 講義議事録(前編)~ 日本は逆境。 だから今がチャンスなんだ!





