議事録
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2009年 第3期 第5回 その他
大前研一特別講義 講義議事録(前編)
~ 日本は逆境。 だから今がチャンスなんだ! アタッカーズ・ビジネススクール 塾長 大前研一
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| 開催日時 | 2009年12月20日(日) 14:00~17:00 |
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| アタッカーズ・ビジネススクール塾長・大前研一による、たっぷり3時間の生講義。 世界や日本における大量かつ多様な情報が、 辛口の大前節によってスルスルと飛び出す! ぜひお楽しみください! |
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講義録
■データから事業機会を読む
日本の国は、いったいどういう国になってきているのか。
皆さんは非常にラッキーなことに、これから逆境の中で勝負をする。僕らの頃は、全てが
上り調子だった。しかし日本のピークは95~96年で、その後は全ての指標で落ちている。
日本はもはや、世界でも珍しい老大国なんだ。大きな特徴は、家計保有金融資産で、預貯
金つまり現金が多いこと。そして所得と資産は減少。物価の動きもあまり良いとは言えな
いな。
今から20年前。家族と言えば夫婦と子供だった。ところが2005年にクロスして、単身世
帯が日本で一番大きな世帯になってしまった。現在では、単身世帯が31.2%、夫婦と子供
で構成する世帯が27.9%、夫婦のみの世帯が20.1%。20年という短期間で、大きな構造変
化が起きている。
皆さんも事業を考える時に、誰を対象に、何をやるのか考えるだろう?では、なぜGMS
(General Merchandise Store/郊外の大規模量販店)やファミレスが売れなくなってしまっ
たのか。
GMSは、家族を前提に成り立っている。車で乗り付けて、トランクいっぱい買い付ける。
車のトランクいっぱい買うなんて、子供が3人、4人といっぱいいる家族だけだよ? 単身
だったらそんなに買う必要はないよね。ポーションが大きすぎる。これからは100グラム
単位でなく80グラム単位で売ったほうが良いに決まっている。単身者なんて、食べるもの
より冷蔵庫の中で腐るものの方が多いんだから。NHKの料理番組でも、4人前の料理を作
っていたのが、去年からようやく2人前になったんだ。
そしてファミレス。単身者が1人でファミレスに行くほど癪に障るものは無い。でも一人
用のレストランが無い、一人用のレストランがあれば儲かるよ。そこは若干寂しいけれど
も、カウンターバーみたいな雰囲気のお店で、ちょっとだけ可愛い子と雑談しながら、煮
つけかなんか食べて帰っていく。一人用のレストランで何とかやっているのは、日本では
大戸屋だけだ。
日本の標準モデルが変わっているのに、ほとんどの経営者がこれに気が付いていない。20
年前は、20~30歳の若い年代に単身世帯が最も多くて、年代が上がるとその数は減ってい
た。今はどの年代を見ても単身世帯が多い。未婚や晩婚、離婚に死別・・・。どの年代をとっ
ても、単身世帯が増えているんだ。
皆さんはフレッシュな心で、日本の最大のセグメントである単身世帯を狙いなさい。現在
ほとんどの会社は、20年前・80年代の分布を対象にしているのだから、事業機会は山ほど
ある。データは見るだけでは駄目。データを見ながら、意味するものを考えると、無限の
事業アイデアが出てくる。皆さんは、グラフを眺めるだけでなく、考える癖をつけなきゃ
いけない。
■寝ている日本の現状
日本のGDP成長率は、95年からほとんど変化がない。誰にも頼まれないのに、この国は
寝ちゃっている。この間、緊急経済政策300兆円、第二次補正予算…等10いくつの経済対
策をやったにも関わらずだ。これが今のマクロエコノミー。こういう国は世界に無い。
日本は紛れもなく世界2位の経済大国だった。ところが中国を見てみると、どうだ。
僕はちょうど平成元年に『平成維新』(講談社)という本を書いた。その表紙は世界地図。
各国のGDPの大きさを国の面積に反映して世界地図を描いた。当時の中国は、ちょうど九
州くらいの大きさだったんだよ。 でも09年12月、中国は日本を抜いた。年間GDPでは
日本の方がちょっとだけ大きいが、来年は中国が確実に日本を抜いてくるよ。月次ではち
ょうど日本を抜たところだ。
その一方で、EU27カ国は、トコトコトコトコ伸びて行って米国を抜いた。EUはもはや国
家だ。最もGDPが大きな国は米国ではない。EUだ。2位は米国、3位は来年から中国。
日本は4位。
中国と日本とでは、GDP成長率が7%違う。ということは2020年には、中国は日本の倍
になる。もし中国が現在の成長率を維持すると、2050年は日本の10倍以上の規模だ。
にも関わらず、日本は頼まれもしないのに寝ている。なぜ横になるのか。それは経済対策
をするからだ。
緊急経済対策は、土木工事が多い。300兆円の土木工事をやるんだ。土木工事を緊急にやる
には、すぐに土地を買える所でしかできない。そうすると東京や大阪、名古屋等の大都市
が手つかずになる。一方で、国が20年計画でやらなければいけないことは、沢山ある。
しかもそこにニーズがあり、金もあり人も存在する。でもそこに金を使わない。
公共工事に経済のちょっとは効果があるのか。ほとんどない。日本が途上国なら、沢山
インフラを作れば経済効果につながる。先進国では上昇効果は非常に乏しい。
日本だけが寝ている。金利をゼロにしてマネーサプライをジャブジャブにして、300兆円の
緊急経済対策をやって何の効果もない。つまりマクロ経済は効き目がない。マクロ経済は
途上国でしか効かない。先進国は皆が金を持っているのだから、心理経済を使うのだ。
そうすると皆何か買おうという気持ちになる。マクロではなく、ミクロ経済。金利やマネ
ーサプライをいじらないで、心理をいじる。
ドイツ首相のアンゲラ・メルケル。車の売り上げが大きく落ち込んだ2009年1月、9年落
ちの車を新車に買い換えれば2,500ユーロ払う政策を出しました。その時たまたまドイツ
に行ったら、ディーラーの前に大破した自動車が置いてあって2,500ユーロと貼ってある。
この政策は1年限り。皆がチャンスだと思う。だからドイツは先進国の中で唯一自動車販
売数が、前年対比マイナスにならずに済んだ。これも心理。いつか買い換えるのなら、今
年がいい。日本もそれを真似したけれども、条件が複雑で効果が薄い。But、Howeverは
駄目。つまり先進国を動かしているのは心理なのだ。
■大前研一特別講義 講義議事録(中編)~ 間違いだらけの中国脅威論。でかいアジアの活用法を知れ!
日本の国は、いったいどういう国になってきているのか。
皆さんは非常にラッキーなことに、これから逆境の中で勝負をする。僕らの頃は、全てが
上り調子だった。しかし日本のピークは95~96年で、その後は全ての指標で落ちている。
日本はもはや、世界でも珍しい老大国なんだ。大きな特徴は、家計保有金融資産で、預貯
金つまり現金が多いこと。そして所得と資産は減少。物価の動きもあまり良いとは言えな
いな。
今から20年前。家族と言えば夫婦と子供だった。ところが2005年にクロスして、単身世
帯が日本で一番大きな世帯になってしまった。現在では、単身世帯が31.2%、夫婦と子供
で構成する世帯が27.9%、夫婦のみの世帯が20.1%。20年という短期間で、大きな構造変
化が起きている。
皆さんも事業を考える時に、誰を対象に、何をやるのか考えるだろう?では、なぜGMS
(General Merchandise Store/郊外の大規模量販店)やファミレスが売れなくなってしまっ
たのか。
GMSは、家族を前提に成り立っている。車で乗り付けて、トランクいっぱい買い付ける。
車のトランクいっぱい買うなんて、子供が3人、4人といっぱいいる家族だけだよ? 単身
だったらそんなに買う必要はないよね。ポーションが大きすぎる。これからは100グラム
単位でなく80グラム単位で売ったほうが良いに決まっている。単身者なんて、食べるもの
より冷蔵庫の中で腐るものの方が多いんだから。NHKの料理番組でも、4人前の料理を作
っていたのが、去年からようやく2人前になったんだ。
そしてファミレス。単身者が1人でファミレスに行くほど癪に障るものは無い。でも一人
用のレストランが無い、一人用のレストランがあれば儲かるよ。そこは若干寂しいけれど
も、カウンターバーみたいな雰囲気のお店で、ちょっとだけ可愛い子と雑談しながら、煮
つけかなんか食べて帰っていく。一人用のレストランで何とかやっているのは、日本では
大戸屋だけだ。
日本の標準モデルが変わっているのに、ほとんどの経営者がこれに気が付いていない。20
年前は、20~30歳の若い年代に単身世帯が最も多くて、年代が上がるとその数は減ってい
た。今はどの年代を見ても単身世帯が多い。未婚や晩婚、離婚に死別・・・。どの年代をとっ
ても、単身世帯が増えているんだ。
皆さんはフレッシュな心で、日本の最大のセグメントである単身世帯を狙いなさい。現在
ほとんどの会社は、20年前・80年代の分布を対象にしているのだから、事業機会は山ほど
ある。データは見るだけでは駄目。データを見ながら、意味するものを考えると、無限の
事業アイデアが出てくる。皆さんは、グラフを眺めるだけでなく、考える癖をつけなきゃ
いけない。
■寝ている日本の現状
日本のGDP成長率は、95年からほとんど変化がない。誰にも頼まれないのに、この国は
寝ちゃっている。この間、緊急経済政策300兆円、第二次補正予算…等10いくつの経済対
策をやったにも関わらずだ。これが今のマクロエコノミー。こういう国は世界に無い。
日本は紛れもなく世界2位の経済大国だった。ところが中国を見てみると、どうだ。
僕はちょうど平成元年に『平成維新』(講談社)という本を書いた。その表紙は世界地図。
各国のGDPの大きさを国の面積に反映して世界地図を描いた。当時の中国は、ちょうど九
州くらいの大きさだったんだよ。 でも09年12月、中国は日本を抜いた。年間GDPでは
日本の方がちょっとだけ大きいが、来年は中国が確実に日本を抜いてくるよ。月次ではち
ょうど日本を抜たところだ。
その一方で、EU27カ国は、トコトコトコトコ伸びて行って米国を抜いた。EUはもはや国
家だ。最もGDPが大きな国は米国ではない。EUだ。2位は米国、3位は来年から中国。
日本は4位。
中国と日本とでは、GDP成長率が7%違う。ということは2020年には、中国は日本の倍
になる。もし中国が現在の成長率を維持すると、2050年は日本の10倍以上の規模だ。
にも関わらず、日本は頼まれもしないのに寝ている。なぜ横になるのか。それは経済対策
をするからだ。
緊急経済対策は、土木工事が多い。300兆円の土木工事をやるんだ。土木工事を緊急にやる
には、すぐに土地を買える所でしかできない。そうすると東京や大阪、名古屋等の大都市
が手つかずになる。一方で、国が20年計画でやらなければいけないことは、沢山ある。
しかもそこにニーズがあり、金もあり人も存在する。でもそこに金を使わない。
公共工事に経済のちょっとは効果があるのか。ほとんどない。日本が途上国なら、沢山
インフラを作れば経済効果につながる。先進国では上昇効果は非常に乏しい。
日本だけが寝ている。金利をゼロにしてマネーサプライをジャブジャブにして、300兆円の
緊急経済対策をやって何の効果もない。つまりマクロ経済は効き目がない。マクロ経済は
途上国でしか効かない。先進国は皆が金を持っているのだから、心理経済を使うのだ。
そうすると皆何か買おうという気持ちになる。マクロではなく、ミクロ経済。金利やマネ
ーサプライをいじらないで、心理をいじる。
ドイツ首相のアンゲラ・メルケル。車の売り上げが大きく落ち込んだ2009年1月、9年落
ちの車を新車に買い換えれば2,500ユーロ払う政策を出しました。その時たまたまドイツ
に行ったら、ディーラーの前に大破した自動車が置いてあって2,500ユーロと貼ってある。
この政策は1年限り。皆がチャンスだと思う。だからドイツは先進国の中で唯一自動車販
売数が、前年対比マイナスにならずに済んだ。これも心理。いつか買い換えるのなら、今
年がいい。日本もそれを真似したけれども、条件が複雑で効果が薄い。But、Howeverは
駄目。つまり先進国を動かしているのは心理なのだ。
■大前研一特別講義 講義議事録(中編)~ 間違いだらけの中国脅威論。でかいアジアの活用法を知れ!





